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増えている非結核性抗酸菌症
2016年4月19日
抗酸菌という種類の菌がいます。結核菌やライ菌もこの抗酸菌の仲間です。結核と異なり、ヒトからヒトにうつることはなく、進行もゆっくりで、身の回りの水回りや土埃の中に普通に生息しています。この結核菌とライ菌以外の抗酸菌による病気をまとめて非結核性抗酸菌症と呼んでいます。100種類以上の菌種がありますが、日本で多いのがMAC症(Mycobacterium-avium complex:マック症)と呼ばれる菌で約7割、その他にM.kansasiiと呼ばれる菌などがあります。
もともと病原性の弱い菌のため、以前は結核後遺症や慢性閉塞性肺疾患、間質性肺炎など呼吸器の病気を持っている人がかかることが多かったのですが、最近は中年以降の女性に増えてきています。なぜ中年以降の女性に多いのかはよく分かっていません。
症状は、無症状のものから、咳、痰、倦怠感、微熱など、悪化すると血痰や体重減少などがみられます。病気の初期には通常のレントゲンで見つけることが難しいこともあります。一方、CT検査で偶然見つかる事も多いです。診断には痰を出してもらい培養検査を行いますが、通常の培養では見つけることが出来ませんので、抗酸菌培養というものを行います。痰がでない人もいますので、生理食塩水を霧状に噴霧したものを吸入してもらい痰を誘発したり、胃液を取ってきて調べることもあります。
同じ抗酸菌の中でも結核は治療薬の開発により治る病気となりました。しかし非結核性抗酸菌症は有効な薬が少なく、確立した治療法がありません。一般的に同じ抗酸菌の結核に使用する薬を用いて治療します。病気の部分が広範囲でなく限られたところにある場合は手術をすることもあります。治療期間は長期になり1-2年間は内服が必要になる事が多く、治療後の再燃もよくありますので、根気よく治療をしていく必要があります。逆にほとんど進行がなく経過する方もおられます、もともと病原性が低いので、体の抵抗力があれば菌を抑え込むことが出来るのかもしれません。ただ、完全に菌が排除されることは少ないので、やはり根気よく経過を見ていくことが必要です。
病気が進行するときも、ゆっくりとした変化のため自分では気が付かないことも多いです。ですので定期的な検査や診察が不可欠です。高血圧や糖尿病といった慢性疾患と同様に、生涯付き合っていくことが必要な病気です。
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