進歩する喘息治療
気管支喘息は気管が敏感になっており、ほこりや冷気、ウイルス感染などを契機に発作的に気管支が狭くなる病気です。これにより軽い時は咳、悪い時は喘鳴(ぜいぜい・ヒューヒューと音がする呼吸)が出現します。以前は発作性の病気と考えられていましたが、今は発作が無い時でも気道に炎症が存在する慢性の病気という事がわかっています。ですので、症状が無い時も継続的な治療が必要で、これを怠ると、呼吸機能の低下を招く恐れがあります。自覚症状だけでなく、聴診器での呼吸音や呼吸機能検査などの結果をもとに治療をおこなうことが重要です。
治療の主役は吸入ステロイド薬になります。ステロイドと聞くと副作用を心配される方も多いと思いますが、内服薬と違い、吸入薬ではその量が非常に少なく、また直接気管に吸収されるため全身性の副作用はほとんど心配ありません。時々のどがかすれるといった副作用が出ますので、吸入をした後には、十分にのどのうがいをして、口の中をすすぎます。その他にも狭くなった気管支を拡張させる気管支拡張薬の吸入や貼付薬を使用したり、アレルギー反応を抑えるロイコトリエン拮抗薬や抗ヒスタミン薬の内服を併用することもあります。
治療の主体となる吸入薬ですが、最近はいろいろな種類の吸入器が使用できます。細かな粉を吸うタイプや、霧のように薬を噴霧して吸入するタイプに大別されます。それぞれに、吸い口の違いや、薬剤のセットの仕方、一日の吸入回数など違いがあります。どのタイプが適しているかは病状だけでなく、患者さんの特性もありますので、使用感を聞いて使い勝手を確認したり、実際に目の前で吸入してもらったり、副作用が無いか確認しながら選択していくことになります。1つの吸入薬がうまくいかなくても、種類を変えるとうまくいくこともありますので、患者さんと相談しながら探していくこともあります。
この様な治療を行っても、しばしば喘息発作を繰り返す患者さんや、治療薬剤が増えていく患者さんもおられます。このような重症の喘息の方には、気道の炎症に関与しているといわれる好酸球を抑える注射薬やダニやハウスダストなどのアレルギー反応を起こすIgEという抗体を抑える注射薬も近年では使用可能になっています。高額でもあり誰にでも使用できる薬剤ではありませんが、効果の大きい薬剤です。
軽症から重症の喘息までしっかりと治療をサポートしていきますので、いつでもご相談ください。