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特発性間質性肺炎という難病
2016年4月19日
間質性肺炎とう難しい病気があります。治療が難しいだけでなく、病気の説明をするのも難しいです。一般的に肺炎というと、菌が肺の中に入って起こる細菌性肺炎を思い浮かべる人が多いと思います。これは菌が原因で、肺の機能である酸素と二酸化炭素の交換を行う肺胞という所に炎症が起きます。一方で肺胞や血管を支える構造部分を間質と呼びます。この間質に炎症が起きたものが間質性肺炎と呼ばれます。その原因は、鳥の糞やカビや粉塵など吸入したものが原因になったり、リウマチなどに合併して起こったり、医薬品や健康食品が原因になったりと様々です。間質性肺炎の中で、いろいろ調べても原因がはっきりわからないものを特発性間質性肺炎と呼びます。
診断には、血液検査やレントゲン、CT検査を行い、通常そのあとに気管支鏡検査を行います。気管支鏡検査とは口から内視鏡を気管の中に挿入して、観察したり、洗ったり、肺の一部を取ったりする(生検)検査です。この検査で診断がつく場合もありますが、これでもわからないことがあり、その時には胸腔鏡下肺生検を行います。これは手術室で全身麻酔をかけて、肺の一部を取る検査です。こうして得た検体を顕微鏡で詳しく解析して診断を進めていきますが、その時には呼吸器内科医・病理医・CT画像を読み解く放射線科医といった専門家が集まって協議をします。このように、一般病院での診断は難しく、呼吸器内科、呼吸器外科、病理、放射線科のそろった大学病院や総合病院での検査・診断が必要になります。この特発性間質性肺炎は国が定める特定疾患(難病)に指定されています。原因不明で進行し、重要になれば国の補助を受けることが出来ますので、しっかりと検査・診断を受けるようにしましょう。
特発性間質性肺炎の中に特発性肺線維症という病気があります。やはり原因は不明で、ゆっくりと肺が硬くなり、縮んでいく病気です。大きく息がすえないので、呼吸が浅く頻回になり、次第に呼吸困難が出てきます。今までは有効な治療がなく、経過を見ていることしかできませんでしたが、近年この肺の縮みを抑える可能性のある薬が開発され、2種類の薬が保険診療で使用可能になっています。
間質性肺炎は診断が困難な病気で、最初の診断には大学病院などを受診する必要があります。ですが病気自体の経過はゆっくりであり、長年にわたる通院が必要ですので、診断後の治療や経過観察はクリニックなどと連携して診療を継続することがあります。
当クリニックでも大学や総合病院と連携を取りながら間質性肺炎患者さんの治療に携わっております。
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